イベント概要(2024年度)

名称JASA仮説検証ブートキャンプ
主催一般社団法人 組込みシステム技術協会(JASA)
共催特定非営利活動法人 人間中心設計推進機構(HCD-Net)
一般社団法人 人間中心社会共創機構(HCS共創機構)
後援経済産業省
EdgeTech+2024(後援:デジタル庁)
EdgeTech+2024(後援:独立行政法人情報処理推進機構(IPA))
企画・運営仮説検証ブートキャンプ実行委員会 実行委員長 渡辺博之(JASA理事 副会長)
仮説検証ブートキャンプ監修篠原稔和(HCD-Net理事長)
事務局鱗原晴彦(HCS共創機構 理事長)
早川誠二(HCS共創機構 事務局長)
岡本寛之(株式会社 U'eyes Design)

「仮説検証ブートキャンプ」プログラムの進行について

組込みシステム技術領域における人材育成プロジェクト「仮説検証ブートキャンプ」今年度のプロブラムが予定通り進行し、終了しました。全参加者数は、17社59名でした。このページでは、プログラム全体の進行状況を報告します。

仮説検証の知識習得

8月10日~9月2日 オンライン学習
9月2日 検定試験

「仮説検証」の知識と手法をオンライン教材で学ぶことからスタート。
参加者の皆さんが、テキスト、および、解説動画を2週間かけて視聴。見事!全員が検定試験(50分)に合格されました。解説動画は密度の濃い内容となっており、参加者各位が集中して学習された成果です。
また、あわせて、次ステップ「実践形式フィールドワーク・ワークショップ」にむけての解説動画5本も視聴。

実戦形式フィールドワーク・ワークショップ:DAY1

本プログラム監修者の篠原稔和氏
本プログラム監修者の篠原稔和氏

9月24日 リアル開催(全3回のうちの初回)

DAY1は、開催会場に参加者を含む80名近い関係者が集いました。

本プログラム監修者の篠原稔和氏(NPO人間中心設計推進機構理事長)からの解説に続き、プログラム進行サポーター(全15名)が紹介されました。彼らは、仮説検証スキルのベースとなる「人間中心デザイン」の専門家資格を有しています。全10チーム(1チーム5~6名)に対しサポーター1~2名ずつが担当、参加者の議論を見守る役割を担います。

まず、あらかじめ、チーム別に指定された席に分れ、自己紹介などチーム内の雰囲気づくり(アイスブレイク)から始まりました。次に、事前に用意された3つの課題が提示され、各チームでの議論を経た後、チーム間投票によって統一課題【災害発生時には、デジタル嫌いまたは苦手な人にITでどんな価値を提供できるか?】が設定されました。

DAY1会場風景
DAY1会場風景

課題が決まると、いよいよ、仮説検証の取り組みの始まりです。

利用者やターゲットユーザーの人物像(ペルソナ)を想定し(仮説を立て)、利用者やターゲットユーザーの実際の想いを確認して検証するためのインタビュー術を会得するため、各チーム内でさらに2班に分かれ、インタビュー役、利用者役、観察役をそれぞれ1回ずつ体験します。この体験を通じて、自身が利用者になりきる感覚も養い、見直しを重ねることで人物像が明確になります。インタビュースキルを高め、利用者の言葉を傾聴できるようになることで、商品やサービスに対する本質的な要求や潜在的な課題を探りだす確率が高まっていくのです。

DAY1会場風景
DAY1会場風景
DAY1会場風景
DAY1会場風景
DAY1会場風景
DAY1会場風景
DAY1会場風景
DAY1会場風景

DAY1各チームの様子

参加者の眼差しは真剣そのものであり、各チームから時折、歓声も上がり、会社や部門もばらばらでしたが、初日の緊張も和らぎ、参加者の前向きな参加意識に支えられて、DAY1のワークショップを終えました。

実戦形式フィールドワーク・ワークショップ:DAY2

10月22日 リアル開催(全3回のうちの第2回)

DAY2は、DAY1と同じ会場での開催です。
今回は、本プログラム主催者の渡辺博之氏(一般社団法人組込みシステム技術協会副会長)の挨拶から始まりました。

DAY2までに、DAY1で顔見知りとなった各チームは、事務局で用意したコミュニケーションツールのマターモーストなどを利用し、DAY1を振り返りながら、利用者やターゲットユーザーの人物像(ペルソナ)への共感を深め、課題との結びつきを話し合ったチームもあったようです。

DAY2のスタートです。今回は「仮説検証」で活用する2つの手法を学びました。

一つ目は利用者やターゲットユーザーの実際の行動の想定すること(ストーリーボード)、二つ目は利用者やターゲットユーザーの実態の理解を深めること(アクティングアウト)の2つです。「ストーリーボード」を作ることは、ポストイットなどを使いながら、実務で類似の事を経験されている参加者も多かったようです。次の「アクティングアウト」は、いわゆる寸劇で、「仮説」として作った「ストーリーボード」を自分たちで演じながら実態としての自然な振る舞いを確認してみる(検証してみる)という手法です。

寸劇(アクティングアウト)については、最初、参加者自らが配役となり演技をすることに戸惑いを感じていた参加者もいたようですが、何度かやってみることで、配役(関係者:ステークホルダー)間の関係性を実感(検証)し、課題の解像度を上げる(目的に近づく)ことを学びました。

DAY2会場風景
DAY2会場風景
DAY2配布資料
DAY2配付資料

実戦形式フィールドワーク・ワークショップ:DAY3

11月15日 リアル開催(全3回のうちの第3回)

DAY3は、DAY1及びDAY2とは違う、会場(NEC本社)のある会社社内の方も見に来ていただけるオープンな会場で開催されました。

DAY2からDAY3の間で、各チームがマターモーストを利用してコミュニケーションをとりながら「ストーリーボード」を充実させました。DAY3では、NECの方など初見の人の前での「アクティングアウト」を経験し、さらにブラッシュアップしていきました。

DAY3では、まず、最終の企画プレゼンテーション会場の様子や時間設定が説明され、制約のあるプレゼンテーションの中で、自分たちの伝えたい「仮説」のポイントとアイデアをどう表現して伝えるか、各チームが熱心に議論・深堀しながら完成度を上げていきました。次に、各チームがあらかじめ決められた順に、別室で個別に、本番でのプレゼンテーション時間を意識しながら、寸劇のリハーサルを行いました。この場では、これまでの議論を理解していない初見の人(複数人)の前で寸劇を行い、生のコメントをうかがいました。自分たちの考えたことがちゃんと伝わったか、演技は適切だったのか(リアリティが増すことにより共感を得やすかったのか)など、第三者からコメントを真摯に受け止めていました。

DAY2では戸惑いも感じていた参加者たちが、DAY3では自信を持って演技をしていて、寸劇に取り組む参加者の姿勢が大きく変わっていることが周りからも感じられました。内容のブラッシュアップとともに、演技力(受容性を確認する力)も向上し、中には、DAY2までの構成案を大きく見直しているチームもありました。

DAY3会場風景
DAY3会場風景
DAY3配付資料
DAY3配付資料

企画プレゼンテーション

11月22日 13時15分~16時45分
会場:パシフィコ横浜(EdgeTech+ 2024)展示会場内 RoomE

企画プレゼンテーションの本番は、パシフィコ横浜のEdgeTech+ 2024会場内です。参加者の皆さんの多くも、おそらく一度は訪れたことがある展示会会場内のオープンな場所での初めての寸劇披露(仮説検証の集大成)です。

審査員や他のチームとともに、一般の聴講者や立ち見の観衆が見守る中、各チームが正面ステージで、順にプレゼンテーションを実演しました。持ち時間は、準備や審査員のコメントを含め全部で10分です。参加チームは、以下の10チームです。

企画プレゼンテーション会場風景
企画プレゼンテーション会場風景
  • ねりまもりん
  • OSK³(オーエスケーキューブ)
  • 仮説検証 108 回
  • のぶこ案内人
  • 進め! Go-Getters!
  • チーム雰囲気まじめ
  • ドローン・エイド
  • 絆セブン
  • 理想のスイッチ企画チーム
  • ひまわり組(発表順)

各チーム、緊張感を持ちながらも、仮説検証ブートキャンプの学びの成果を存分に披露しました。プレゼンテーション直後に、10チームそれぞれ、審査員から発表者への、短いながら的確なコメントやアドバイスをいただけました。笑顔でプレゼンテーションを見守る、審査員や聴衆の皆様の表情が印象的な企画プレゼンテーションとなりました。

全10チームのプレゼンテーション後、「検証」結果として、審査員による最優秀賞1チームと優秀賞2チーム、ファシリテーターによるHCDファシリテーター賞、および来場者によるオーディエンス賞が選ばれました。審査結果は以下の通りです。

最優秀賞

進め! Go-Getters!「もしものとき情報で大切な人を守るUnite(ユナイト)」

優秀賞

ドローン・エイド「ドローン・エイド~ドローンによる災害支援システム~」

理想のスイッチ企画チーム「集合スイッチ~簡単操作でつなぐ、家族の今ここ~」

HCD ファシリテーター賞

ねりまもりん「地域お助け「守鈴」(まもりん)」

オーディエンス賞

ひまわり組「大切な人の今がわかり、次の動きを提案してくれるヒマワリナビゲータ」

企画プレゼンテーションでの白坂審査員長の全体コメントから

企画プレゼンテーションの審査は接戦で、最優秀賞と優秀賞は審査員の評価の総合得点で決定した。アイデアが良いとか、他のサービスとの組み合わせが良いとか、演技パフォーマンスがうまいなど、それぞれ違う良い点があり、各賞がそれぞれ別々に選ばれ、とても良く、どのアイデアも面白かった。参加者の皆様がスキルを身に着けたことが大事で、この賞を得るためにやられたわけではなく、ここで終わることなく、その先を考えて、それぞれの価値の社会実装を目指してほしい。