イベント概要(2025年度)
| 名称 | JASA仮説検証ブートキャンプ |
| 主催 | 一般社団法人 組込みシステム技術協会(JASA) |
| 共催 | 特定非営利活動法人 人間中心設計推進機構(HCD-Net) 一般社団法人 人間中心社会共創機構(HCS共創機構) |
| 後援 | EdgeTech+2025(後援:経済産業省) EdgeTech+2025(後援:デジタル庁) EdgeTech+2025(後援:独立行政法人情報処理推進機構(IPA)) |
| 企画・運営 | 仮説検証ブートキャンプ実行委員会 実行委員長 渡辺博之(JASA理事 副会長) |
| 仮説検証ブートキャンプ監修 | ソシオメディア株式会社 |
| 事務局 | 人間中心設計よろず相談 早川誠二 (HCS共創機構 事務局長) 株式会社 明電舎 山口 恒久 (NPO 人間中心設計推進機構 理事、ビジネス支援事業部長) 株式会社 U’eyes Design 代表取締役 田平 博嗣 (一社) 人間社会共創機構 事務局運営委員) 株式会社 ぷらすU. 代表取締役 皿谷 知之 (NPO 人間中心設計推進機構 理事) |
「仮説検証ブートキャンプ」プログラムの進行について
組込みシステム技術領域における人材育成プロジェクト「仮説検証ブートキャンプ」今年度のプロブラムが予定通り開始されました。全参加者数は、16社36名でした。このページでは、プログラム全体の進行状況をお知らせします。
仮説検証の知識習得
8月12日~8月31日 オンライン学習
9月1日・3日 検定試験
「仮説検証」の知識と手法をオンライン教材で学ぶことからスタート。
参加者の皆さんが、テキスト、および、解説動画を2週間かけて視聴。見事!全員が検定試験(50分)に合格されました。解説動画は密度の濃い内容となっており、参加者各位が集中して学習された成果です。
あわせて、次ステップ「実践形式ワークショップ」にむけての解説動画5本も視聴いただきました。
また、本年度は特別プログラムとして、株式会社Hyper-collaborationより
【仮説の源泉を作る力を鍛える】
~ 発想の言語化とインサイトの構造化トレーニング~
と題しました言語化トレーニングのオンライン教材を提供頂き、参加者にワークショップでより活発に議論いただけるよう準備致しました。
実戦形式フィールドワーク・ワークショップ:DAY1

10月9日(木)13:00~17:00 リアル開催(全3回のうちの初回)
DAY1は、NEC本社会場に参加者を含む50名近い関係者が集いました。
早速、本年度のワークショップ進行役の山口 恒久(NPO 人間中心設計推進機構 理事、ビジネス支援事業部長)の挨拶のあと、プログラム進行サポーター(全9名)が紹介されました。彼らは、仮説検証スキルのベースとなる「人間中心デザイン」の専門家資格を有しています。全7チーム(1チーム5~6名)に対しサポーター1~2名ずつが担当、参加者の議論を見守る役割を担います。
また、あらかじめ、チーム別に指定された席に分れ、自己紹介などチーム内の雰囲気づくり(アイスブレイク)から始まりました。次に、事前に用意された統一課題【災害発生時には、デジタル嫌いまたは苦手な人にITでどんな価値を提供できるか?】が設定されました。

いよいよ、仮説検証の取り組みの始まりです。
まずは、利用者やターゲットユーザーの人物像(ペルソナ)を想定し(仮説を立て)、利用者やターゲットユーザーの実際の想いを確認して検証するためのインタビュー術を会得するため、各チーム内でさらに2班に分かれ、インタビュー役、利用者役、観察役をそれぞれ1回ずつ体験します。この体験を通じて、自身が利用者になりきる感覚も養い、見直しを重ねることで人物像が明確になります。インタビュースキルを高め、利用者の言葉を傾聴できるようになることで、商品やサービスに対する本質的な要求や潜在的な課題を探りだす確率が高まっていくのです。








DAY1各チームの様子
続いて、インタビュー内容をもとに、共感マップの作成、ストーリーボードと進んでいきます。本年度は仮説検証をアジャイル的に複数回こなすことを目標にDAY1の終わりにアクティングアウトを行う事までを目標としました。
「ストーリーボード」を作ることは、ポストイットなどを使いながら、実務で類似の事を経験されている参加者も多かったようです。次の「アクティングアウト」は、いわゆる寸劇で、「仮説」として作った「ストーリーボード」を自分たちで演じながら実態としての自然な振る舞いを確認してみる(検証してみる)という手法です。
寸劇(アクティングアウト)については、最初、参加者自らが配役となり演技をすることに戸惑いを感じていた参加者もいたようですが、何度かやってみることで、配役(関係者:ステークホルダー)間の関係性を実感(検証)し、課題の解像度を上げる(目的に近づく)ことを学びました。
その後、今年度のワークショップで追加された【仮説検証キャンバス】へアクティングアウトの成果を記載していきました。
【仮説検証キャンバス】はAs Isから始まり、現状の問題点を解決するソリューションの仮説とアクティングアウトを行った後に出た新たな課題を書き留めていきます。
全3回のワークショップでは【仮説検証キャンバス】を使い、3回、仮説検証を繰り返します。
参加者の眼差しは真剣そのものであり、各チームから時折、歓声も上がり、会社や部門もばらばらでしたが、初日の緊張も和らぎ、参加者の前向きな参加意識に支えられて、DAY1のワークショップを終えました。
実戦形式フィールドワーク・ワークショップ:DAY2
10月22日 リアル開催(全3回のうちの第2回)
DAY2も、DAY1と同じNEC本社会場での開催です。
DAY2までに、DAY1で顔見知りとなった各チームは、事務局で用意したコミュニケーションツールのSlackなどを利用し、DAY1を振り返りながら、利用者やターゲットユーザーの人物像(ペルソナ)への共感を深め、課題との結びつきを話し合ったチームもあったようです。
DAY2のスタートです。
Day2ではDay1の振り返りから始め、アクティングアウトで見つかった新たな課題やペルソナ像の修正などを行い、再度、仮説を立て、アクティングアウトによる検証へとつなげます。
アクティングアウトでペルソナ役やその他の間接ユーザーなど配役も決まってきましたので、再度ペルソナ役の参加者にインタビューを行ってもらいました。ここで自分達が作った仮説とソリューションが本当にペルソナに受け入れられているのかを再確認していきます。
インタビューで出たきた新たな課題や疑問に仮説を立て2回目のアクティングアウトにつなげます。Day2では、各グループ、発表時間を抽選で決定し、持ち時間15分で別室にてグループごとにファシリテーターへアクティングアウトを披露しました。
ファシリテーターは自分達がペルソナになった想定で自分事としてアクティングアウトを見て、率直な意見を返します。どのグループも災害場面を想定したとても面白い内容になっていましたが、まだまだ未解決な問題や新たな気づきがたくさんありました。
仮説と検証を繰り返すことでアイディアをさらにブラッシュアップしていきます。
最後に2日目の内容を【仮説検証キャンバス】に記載しDAY2は終了です。
次回DAY3に向けてとても楽しみな内容になっていました。




DAY2の様子
実戦形式フィールドワーク・ワークショップ:DAY3
11月5日(水)13:00~17:00 リアル開催(全3回のうちの第3回)
DAY3も、DAY2と同じNEC本社会場での開催です。
DAY3に向けては、各チームSlackを利用し、積極的に意見交換を行い、仮説の検証を深めていきました。また、最終の企画プレゼンテーションの為の画像や小物などの準備を行ったチームもあったようです。
DAY3のスタートです。
Day3ではDay2の振返りを行うため、ペルソナ役の参加者に時間を切ってインタビューを再度行っていきながら、ペルソナ以外のステークスフォルダーまで、幅を広げて再インタビューを行い、仮説の中の課題を明確にしていきました。
再インタビューで出たきた新たな課題や疑問に仮説を立て3回目のアクティングアウトにつなげます。Day3でも、各グループ、発表時間を抽選で決定し、持ち時間15分で別室にてグループごとにファシリテーターへアクティングアウトを披露しました。
各チームともDay3ではよりブラッシュアップされたソリューションを披露してくれました。最後に3日目の内容を【仮説検証キャンバス】に記載しDAY3は終了です。
そして、今回で実戦形式のワークショップは最終回を迎え、11月21日の企画プレゼンテーションにむけて、各チーム最終準備を行っていきます。




DAY3の様子
企画プレゼンテーション
11月21日(金) 13:15~16:45
会場:パシフィコ横浜(EdgeTech+ 2025)展示会場内 RoomB
企画プレゼンテーションの本番は、パシフィコ横浜のEdgeTech+ 2025会場内です。参加者の皆さんの多くも、おそらく一度は訪れたことがある展示会会場内のオープンな場所での初めての寸劇披露(仮説検証の集大成)です。
審査員や他のチームとともに、一般の聴講者や立ち見の観衆が見守る中、各チームが正面ステージで、順にプレゼンテーションを行いました。
来場者による投票で決まるオーディエンス賞もあり、たくさんの方が足を止めて各チームのソリューションを興味深く見て頂くことができました。
また本年度から導入した「仮説検証キャンバス」を有効に使い、短時間であるが審査員にどのような仮説と検証を繰り返したのかを的確に伝えることができたと思います。審査員からも仮説検証キャンバスの内容に質問が集中し、課題解決に有効活用している事が見えたとの嬉しいコメントも頂きました。
そして本年度も、全7チームの発表はすべて、素晴らしいソリューションになっていました。
その後は、30分の審査時間の後、表彰式へと移りました。
最優秀賞
チーム名: 練馬区水害対策室
ソリューション名: 避難後パーソナルケアサービス
概要:
2 ~ 3 年後の近未来を想定し、生体認証などのIT 技術を活用した避難向けソリューションを提案。自治体は住民参加型ボランティアを組織し、避難所に認証ゲートを設置。避難状況を端末で確認し、アプリ通知を基に個別ケアを実施。高齢者が支援側として活躍できる仕組みが特徴です。

優秀賞
チーム名: お嬢
ソリューション名: LINEギフト災害支援
概要:
LINE ギフトを活用して被災地へ物資の支援を行います。
避難所が必要物資を設定し、ユーザーは食料プランや衛生用品プランなどを選んで支援。
物資が受け取られた時にはユーザーへフィードバックが届きます。
募金よりも具体的に、自分で物資を送るよりも手軽に。
被災地へ向けてアクションを起こしたい人の後押しをします。

HCD ファシリテーター賞
チーム名: チームふみ
ソリューション名: そなポイ
概要:
防災支援× ポイ活会話型アプリ「そなポイ」は、日常で防災クイズやミッションに挑戦し、ポイントやクーポンを獲得できて家族と共有しながら楽しく防災を学べます。
災害時には会話形式で家族の安否確認や、避難先までの安全な避難経路を案内します。
自治体と連携した信頼できる防災情報で家族の安心と安全を支援します。

オーディエンス賞
チーム: D-button(ディーボタン)
ソリューション名: MAMOLINK(マモリンク)
概要:
「MAMOLINK」は、災害時にスマホが使えなくても“安全” や“助け” を伝えられるお守り型デバイスです。 2 つのボタン(安全/助けて)を押すだけで光と音が発信され、近隣住民や自治体が即座に反応。自助・共助・公助をつなぐ、新しい「防災のカタチ」です。

その他参加チーム
チーム: みちしるべ開発部
ソリューション名: AI電柱
概要:
AI 電柱とは、街の電柱に大型のディスプレイと音声対話機能を搭載したインフラ設備です。平常時は、天気予報や地域情報を表示し、話しかけるだけで道案内などの情報を提供します。災害発生時は、自動的に「災害モード」に切り替わり、蓄電バッテリーで稼働します。地震情報や、最寄りの避難所への経路を、音声と画面で案内します。スマホが苦手な高齢者でも、話しかけるだけで使える、誰もが安心して頼れる街の情報ステーションです。

チーム: 「NOBU☆NOBU」
ソリューション名: ねりまーく
概要:
デジタルに抵抗感がある高齢者向けの地域密着型アプリです。音声操作(会話形式UI)にすることで、細かい操作が苦手な高齢者でも、行政手続きやボランティア、イベント情報などに容 易にアクセスできます。普段使いを促し、スマホを携帯する習慣をつけることで、災害時でも安否確認と避難所案内を可能とし、利用者の安全を確保します。

チーム: みまもり隊
ソリューション名: せたがや見守りステーション
概要:
名札型デバイスと地域センサーネットワークで子供の居場所を見守り、災害時はAI が避難場所を提案。 世田谷区発の地域連携で、家族と住民が共助し安心を届ける見守りアプリです。

企画プレゼンテーションでの白坂審査員長の全体コメントから
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